桜を守り育てる会では、R7年6月8日に北広島市内に植えられた桜の木の実態調査を行いました。
以前までの調査で、ソメイヨシノのてんぐ巣病が広がっていることは把握していましたが、さらに桜こぶ病が北広島市にも蔓延。中には重症のエジヤマサクラも発見しました。
この実情について、当会の理事である金田正弘 樹木医のレポートを紹介します。
旧島松駅逓所向いのエゾヤマザクラに感染木あり

北広島市の旧島松駅逓所に至る市道沿いに、エゾヤマザクラの並木があります。
改装中の駅逓所向い付近のエゾヤマザクラにサクラ類こぶ病が発生していました。

樹冠内部には、大小さまざまなこぶが付き激害の症状を呈していました。
緑葉は、一部の枝に付いているだけで、ほとんど枝枯の状況を呈していました。
他にもう1本こぶ病感染木が見つかりました。外観目視で確認できたのは、この2本です。

緑葉期は、葉にかくれこぶ症状を確認するのが難しい状況です。
他に感染木がないか秋落葉期の調査が望まれます。
現在サクラ類こぶ病の治療方法は確立されていません。
激害木は、伐採し焼却処分にするしか処置方法がありません。
公園緑地沿いのエゾヤマザクラにも感染木を発見

樹林地内のエゾヤマザクラ大木(樹高10m以上)を観察しました。
太い幹に無数のこぶが発生していました。

樹冠部細枝にもおびただしい数のこぶ症状を見つけました。

このエゾヤマザクラは、遠目から見ると立派な桜です。
緑葉も多く繁茂し、これがサクラ類こぶ病激害木と言えるか難しい症状でした。
サクラ類こぶ病の発生を甘くみてはいけない

エゾヤマザクラに発生するサクラ類こぶ病発生の存在は、北広島市大志の会の方々に伝えていました。
まもなく「市内のエゾヤマザクラ大木にこぶ病らしい症状が発生しているので見てほしい」との依頼があり、6月5日に現地へ赴いたところ、3本のこぶ病感染木を観察することができました。
北広島市内でサクラ類こぶ病発生の認識は、ほとんどないのでないかと思っています。
2014年3月に発表した「道央圏のサクラ類こぶ病の発生と処置方法」の報告書を参考にしてください。
北広島市は、まさに道央圏にあたりやはりサクラ類こぶ病発生圏だった事が判明しました。
この報告書は、2010年~2013年の4年間苫小牧市、札幌市内のエゾヤマザクラを調査し試験的な処置を実施して、2014年にとりまとめたものです。それから11年が経過しました。
私は4年間サクラ類こぶ病と向きあい、相当の時間とエネルギーを費やしました。サクラ類こぶ病の実態はわかりましたが、その処置方法の難しさに力が及びませんでした。
エゾヤマザクラは、道内における野生種として重要な存在です。
その風土病的なサクラ類こぶ病の発生はエゾヤマザクラに感染します。
北広島市内の発生状況の調査実施及び激害木の処置を期待しています。
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